2023.02.09【イベントレポート】組織変革の4ステップとは?強い自律の組織を実現するリーダーシップ実践例
イベントレポート
2022年12月22日(木)に開催された経営者向けイベント「強い自律の組織を実現するリーダーシップとは」の様子をお届けします。
組織変革プログラム「ココシフ」を提供するGCストーリー株式会社からは、代表取締役社長の西坂勇人、常務取締役の萩原典子が登壇。また実際にココシフを活用し、組織変革を実践されている株式会社パルサー代表取締役の阿部章氏からは、実際に起きた変化をお話しいただきました。
「社員が自ら考えて動ける組織にしていきたいが、どこから手を付ければいいか分からない」
「これからの時代、強い組織を作るために何に取り組んでいけばいいのか知見がほしい」
こうしたお悩みを抱える経営者の皆さまはぜひご覧ください。
次世代型組織に変革するには、経営者の意識変容が必要不可欠
イベント冒頭、西坂から著書『強い組織ほど正解を捨てる』に基づいた組織変革の考え方が語られた。
「組織より個人の力が強い時代になり『いい組織』の定義が変わっている。経営者の思考を変化させていかないといけない」と西坂は話す。
西坂:Web3が中央集権をなくしていくように、組織がパワーを持っていた時代から個がパワーを持つ時代になっています。これが時代の変化の一番の本質です。これまでの組織主体のパラダイムから、従業員が『いい会社』と感じられる個人のための組織にシフトさせるべきですよね。生産性や効率性ではAIとロボットに取って代わられる。人間が人間らしく、幸せを創出しながら成果を出せる自律した会社にしていかないといけない。
「そんな組織にシフトチェンジするにはどうしたらいいか」と西坂は続ける。
西坂:経営者にはそれぞれ自分のリーダーシップスタイルがあります。けれど今後求められるのは、組織の状況に合わせてどんなリーダーシップを発揮するべきかを考え、柔軟に自分のリーダーシップを変えていくことです。前提が変わればリーダーシップは変わります。複雑性が高くゴールが分からない時代、集まっている個人の内発性や自分らしさを創出させる視点にリーダーが立たないといけません。
20代30代の優秀な社員は、我々40代50代の経営者よりも柔軟でさまざまな視点を持っています。 昭和的なあっちに行くぞ!とトップダウンでまとめるだけのリーダーシップではついてきません。何言ってんの?という話になるわけです。 経営者自身が自らの意識を変容させていく必要があります。
ゲスト経営者による「組織変革の実践例」自律組織への4つの変革ステップ
ここからは、実際に自律型組織への変革に取り組まれている株式会社パルサー代表取締役の阿部氏と西坂をスピーカーに迎え、萩原がモデレーターとなり話を伺った。
株式会社パルサーは、宮城県仙台市で自動販売機、券売機、セルフレジ等の販売事業、リースレンタル事業、オウンドメディア事業、デザイン事業を展開している。平成元年の創業以来、順調に業績を拡大していたものの、部署ごとの意識の違いや社員が自発的に動けない課題に直面していた。
現在、阿部氏は次の4ステップの組織変革に取り組んでいる。
「現状把握と土台構築」「組織設計」「変革期」「推進期」のうち、今回はステップ1であり変革の要でもある「現状把握と土台構築」での変化について、さらに6つのフェイズに分けて詳しく伺った。
phase 1-3
萩原:まず最初の経営者の意識変容が一番大きな部分だと思います。阿部さんの中で起きた意識変容を教えてください。
阿部:組織運営がうまくいかない中で、経営者が一番一生懸命働くべきとか、背中を見せないとなど、これまで学んできた「経営者はこうすべき」に囚われている状態でした。うまくいかないのも経営なんだ、こういうことを乗り越えていい組織ができると思い込んでいたのがスタートです。
組織の問題の原因はすべて経営者の意識にあると教えていただいて、現状を変えるには自分が変わらないといけないと思いました。そもそも何をやりたかったかを深く問うていくと、 人が幸せになれる組織をつくりたかったことに気付き、目標達成や売上は派生の話でした。そこを目指すにあたって今のやり方は違っているので、一つ一つ「べき」を捨て、「自分がこうしたい」を増やしていったのが意識変容として大きかったと思います。
西坂:経営者って、会社をうまくいかせたいとかさまざまな思いが心の中にありますよね。その中で根っこの一番大切にしている核が何なのか。そこから一番エネルギーが出るので、意外と経営者自身がそこに気づかないと次に進めないというのは見てて思うところです。
萩原:組織の矛盾の理解では、どんなことがありましたか。
阿部:自分がやりたい「幸せな組織をつくる」ことと、現状のメンバーの考えにギャップがありました。特にナンバー2が、能力はあるんだけど実は価値観や考え方が合わなかったんです。それもよく言われる、自分と価値観が違う人が経営メンバーにいたほうがいいという言説を信じて我慢していました。
阿部:ここと向き合うことは本当に自分との戦いでした。この人がいなくなったら売上が下がるし組織が回らなくなると思いながらも、自分の弱さも含めてここを変えないと組織は絶対変わらないと感じていたんです。自分の中で一番葛藤しながら進めたフェイズです。 1年半ぐらいかけてナンバー2と話し合って、お互い幸せになれる道を行こうという着地で別れました。他にも、お互い幸せになれる道に行くために何人かメンバーが離れていきました。
萩原:今までのボードメンバーがいる中で新しいボードメンバーを選定していった流れになると思います。そのあたりは社内で不安な空気はありませんでしたか。
阿部:めちゃめちゃありましたね。社内には「こういう組織を作りたくて新しいボード陣を組織します」と宣言して説明するんですが、社員はこれまでのボード陣と新しいボード陣どっちに聞いたら良いのか。業務を優先させたらいいのか、組織のことを優先させたらいいのか。みたいな右往左往が半年ぐらい続きました。
phase 4-6
萩原:リーダーへの意識の浸透ではどんなことをされたんですか。
阿部:「Akira’s Room」(AR)という時間を作りました。GCさんで西坂さんが「はやとの部屋」という対話部屋をやっていらっしゃると聞いて、真似させてもらった形です。週に1回1時間から1時間半必ず時間を取って、ボード陣といろんな話をしました。相談やお客様からのクレームに対して、人が幸せになれる組織を作るという視点で自分はこう考えると伝えたり、今度こういう戦略で行こうと思うんだけどどう思う?と相談をしたりする場になってきました。それまで全て自分とナンバー2で決めていた話を、ARの中でボード陣に相談をして決めるように集中したのが大きなポイントでした。
西坂:阿部さんがすぐ出来たのがすごいなと思っていまして、要は心理的安全性なんですよね。 経営者がそこで「自分だったらこうする」とか「そうじゃない」みたいな正解っぽい雰囲気を出さずに対話できるかどうかが一番重要なんです。
本人が葛藤してることを聞きながら、俺だったらこう考えるかもしれない。でも俺もこんな弱いところがあるんだよね、と自分の脆弱性を出しながら相手の立場に立っていく。そういうコミュニケーションができるかどうか。
萩原:最近、自律度の高い組織に話を伺うと大抵経営者の方が葛藤を社員に見せているんですよね。例えば企業運営に関わるレベルの葛藤を開示していることによって、メンバーたちがその葛藤を自分ごととして捉えて、主体的に会社に関わっていく事象が見られます。次世代のいい組織は、弱さを見せられることがすごく大事だなと思います。
萩原:次は自律経営システムのフェーズですね。GCストーリーが提案する管理会計の考え方と実践に取り組んでいただきました。
阿部:リーダー陣は最初、管理されるためのツールを入れるんですか?という得体の知れないものに触れる不安感があったみたいです。管理をするためではなくて、人が幸せになれる自律した組織を作ることが目的だと伝えました。自分たちで数字を見てアクションして、失敗や成功の経験を数値的に判断できるようにするためという話をしながら、進めていきました。
萩原:メンバーレベルの浸透はどうでしょうか。
阿部:最初の研修でお話いただいた体重計の話がわかりやすく、今でもみんな口にしています。ダイエットをするなら目標体重を決める。日々数値が上がってるのか下がってるのか分かれば、食事を減らすなどさまざまな工夫ができるんですよね。毎日体重計に乗るようなものだとみんな腑に落ちていました。特にデザイナーからは嫌ですという反応があり苦労したんですが、見えるようになると数字へのコミット、会社へのコミットが変わったのが印象的でした。
西坂:経営者が普段自然にしている考え方を、フレームワークにしてインプットするという話です。ただその前提としてはマインドも出来上がっていないとなかなか厳しいんですよね。
萩原:社員を幸せにするという前提がなかったら、自分の範囲の数字が良くなればいいというセクショナリズムが進む構図にもなりますよね。なので少し危険性もあると思っていて、論語とそろばんを両方ちゃんとバランス取りながら入れていくところがポイントかなと思います。
いい組織を作るには。組織ごとに自律への道は異なる
パネルトークを終え、参加者からは「リーダー人材の選定の仕方は?」「組織として目標達成をどう捉えるか?」などさまざまな質問が寄せられた。特に印象的だったのは、フリーランスを中心とした組織づくりを行うある経営者からの相談だ。経営者が弱さを見せることの葛藤について、リアルな悩みが語られた。
参加者:うちはフリーランスの人が多く、会う機会が少ないのでSlackに毎日日記を書いて投稿しています。葛藤や迷いを書くことにはすごく良い効果があって、若い人には共感をしてくれる人が多いです。ただ50代の方があまり良い印象ではないみたいで「そんなんじゃだめだ。一言言いたい」と。迷わずに立ち向かうリーダー像を求められているのかなと感じるんです。いい効果も感じるけれど、頼りないと思われたら嫌だなと考えるようになったりしています。
西坂からは、リーダーの在り方を自身が決める重要性について回答があった。
西坂:自分はどういう組織のどういうリーダーであるかを最初に決めないと不安が出てきやすいです。そこが決まっていたら誰が何を言おうといいんです。不安や葛藤を見せるようなリーダーは あまり良くないのではと思っていらっしゃるかもしれません。やっぱり批判されたら苦しいので、気持ちはわかります。ただその葛藤こそ成長の糧です。
外からどう見られるかではなくて、 内発的な動機づけで生きる時代になってきてるので、自分がどうありたいかに素直に従って全然いいと思うんですよね。弱さを見せることも含めてどんどんやっていただいて、外から言われて動揺したときは成長の糧、意識変容のタイミングとして捉えていただきたいです。
イベント終盤、萩原からココシフの目指すところについて話があった。
萩原: GCストーリーのココシフでは、関係性の質、社員の自律度、存在意義への共感度、社員の幸福度。これらが全部高い状態の組織を作っていきたいと考えています。いい組織の定義は組織ごとにあると思いますが、社内の関係性がよく、それぞれが自律して、共に組織を創っていくような方向性を目指している会社のサポートをさせていただきたいです。
自分たちは何からどう導入していくのがいいのか迷っていらっしゃる方は、ぜひココシフにお声がけください。お悩み解消をサポートするチャート(下記図)もあります。ぜひお試しください
「社員が自ら考えて動ける組織にしていきたいが、どこから手を付ければいいか分からない」
「これからの時代、強い組織を作るために何に取り組んでいけばいいのか知見がほしい」
こういった悩みを抱える経営者に向けて、経営者の意識変容や心理的安全性、人材育成、管理会計などさまざまな道が示された。経営者のあり方によって、組織はいかようにも変わっていく。だとしたら、自分はどんなリーダーとしてどんな組織にしていきたいのか。そんな問いが参加者の胸に宿ったイベントだった。
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