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2023.12.19土も組織も、多様性がいかすものー株式会社いかす代表取締役・白土卓志氏のorganicな生き方【イベントレポート】

イベントレポート

2023年7月20日に開催された特別プログラム「越境寺子屋」の様子をお届けします。
組織論や各分野の最先端を牽引するゲストを招き、さまざまな背景を持つ参加者が交流し学びを創発する本プログラム。

今回は、湘南にて人と地球に優しい農業を推進する、株式会社株式会社いかす代表取締役・白土卓志さんにお越しいただきました。白土さんは、湘南オーガニック協議会 会長、NPO法人有機農業参入促進協議会 理事、一般社団法人次代の農と食をつくる会 理事なども務められ、”be organic”な農と食が広まるよう活動しています。

「組織の同質性と多様性のバランスに悩んでいる」
「”be organic”とはどういうことなのか」
こうしたお悩みや疑問をもつ方は、ぜひ最後までご覧ください。

畑のルールは、生き物のルール。多様性が組織を活かす

白土氏の話は専門である野菜や畑の話にとどまらず、微生物、人間の腸内環境、そして組織の話まで多岐に及んだ。中でも印象的だったのは、「生き物ならば全て同じルール」というお話だ。

白土:畑であろうが、僕らの体であろうが、組織であろうが、全部生き物なので同じルールなんですよね。当たり前といえば当たり前の話です。「ティール組織」も生命体のような組織と言われますよね。僕は普段生き物に触れる機会が多いので、皆さんよりも2,3歩実感を持って、ああそういうことなんだなって理解しました。ただ、自分の組織は全然できていませんが(笑)

白土:例えば、植物を育てていて虫が来る条件というのは、もう1個しかないんです。この植物が不健康だからです。

岩波:究極の自然農業は虫が来ないですよね。

白土:土壌ができていないのに育て始めると、不健康になります。栄養がなさすぎて虫が増えるのか、もしくは栄養がありすぎて虫が来るのか、どっちかだけなんです。元気に育っていれば虫はこないんですね。畑の中で起こる「殺す」「肥やす」「エサをやる」ということは、腸の中でも全く同じことが起きていますし、組織にしても一緒じゃないかと僕は考えています。僕の中で何となくあるのは、「殺す」は採用で、要はやり過ぎるとどうなのかという話。多様性がなくなってしまう。農業でも、何かを殺してやる農業と全部を生かしてやる農業は、根本的に全然違います。
「肥やす」は、微生物の餌にはならないけれど、畑が太る要素にはなるもの。組織だと給料が分かりやすいかもしれないですね。お金のために仕事をする。それってエネルギーにはなるけれど、少し質が違う。エサは何だろうなと思ったときに、魂からやりたいことかなと。企業の中でこれをやりたい、要は自分が生きている意味です。そことリンクした時に初めてエネルギーが湧いてあれをやろう、これをやろうと活動的になるんじゃないかと。

白土:多様性を担保するというのはすごく重要です。強いウイルスが来たときに、同じ免疫しかなければみんな倒されてしまいます。でも多様性があれば、誰かが倒してくれるんです。何か緊急事態が起こったとき、いつもボケっとしているやつが安定感あって助かったみたいな話もあるかもしれない。それはその時にならないと誰にも分からないんです。だからどこまで許容できるかは組織の度量だし、組織の可能性なんだろうなというのが、今僕が思っていることです。

「やりたいこと」は嘘?現代病と自然の関係

参加者からは、白土氏の掲げる”be organic”について理解を深めたいという質問が上がった。

参加者:オーガニックに人が成長するとはどういうことなのか。成長するなら、自分に負荷をかけて成長しないとと思っているのですが、苦しさもあります。農業的な観点からどう捉えてらっしゃるのでしょうか。

白土:やりたいことってあるじゃないですか。僕、それ嘘だと思ってるんです。目標だと思ってることって嘘だと思ってます。思い込んでるエネルギーってすごい。やりたいことや目標を全然否定はしてないんですけど、本来やりたいことって超ライトな感じがするんですよね。何か一生懸命考えてこれだって決めたことではない気がするんです。

白土:僕はしょっちゅう温泉に一人で行くんですけど、全部終わって帰る車の中で、ふっとひらめく。詰まって考えていると何も出ません。もちろん一生懸命考えちゃダメなんてことはないんですが、みんなちょっと頑張っていて、それによって多分ちょっとズレてるんです。そのズレを修正するのが人生を生きるという活動。自分の生きる目的に沿い出すと、修正が自分の中でどんどんシームレスになってくる。その感覚は考えても絶対に出てこないんです。僕は畑の学校という活動をやっていて、そこである女性が活動後に「私はこの学校を出て自分がやるべきことが分かりました」と何か掴んだみたいなんです。そのやりたいことは全然畑には関係ないんですが、僕がしたいことを彼女はできたんだなと思ってます。

参加者:考えないとか、行動しないとか、空白の時間を作ることにソワソワしてしまいます。

白土:それは完全に現代病ですね!考えろ、考えろって小学校入った瞬間から山ほど言われますよね。でも本当は何も考えたくないんだと思います。考えないことがなんでダメだと思っているのか、僕は実はよく分からないんです。

“be organic”には、どこまでも自然であること、自分という肉体と精神がすんなりフィットするような、そんな感覚が含まれているようだった。白土氏の感性やものの見方には、やはり普段から自然に触れている圧倒的な経験値が反映されていた。

“be organic”に生きる人を増やすために

白土:僕「何とかなる」というのがテーマで、以前は「何とかする」社会に生きていました。それはそれでスキルがつくし、生きる力がつきます。でもね、疲れるんですよ。9年働いていたんですけど、めちゃくちゃ疲れちゃったんですね。僕は「何とかする」から「何とかなる」だと思っていて、何とかなるところにいると不安がなくなるんですよね。不安はあっていいと思うんですけど、我に返ると何とかなる世界が待っている。農業をやって、それが体験として入ってきているのがわかります。

白土氏からは、農業や畑に取り組むことで自身のパーソナルな部分に起きた変化についても言及があった。

白土:僕の中で「こうあるべき」「ちゃんとしたい」が強い部分があって、使ったものは元の場所に戻すとか、それをやれない人を見ると「お前さぁ」ってなっちゃってたんですよね。でも、今だいぶ減ったんです。何で減ったのかと言うと、自分のことを見たから。ちゃんとしたいのは僕だけ。相手はちゃんとしたいじゃなくて、もっと楽しくとか、そのままでいるみたいな感じがある。僕は「ちゃんとしたい」っていうエネルギーがあるんだと知ったときに、すごく落ち着いたんです。これをさかのぼって理解したときに、あまり怒らなくなったんですよね。僕は3人男兄弟の長男でおばあちゃんが学校の先生。町を歩いていると「白土先生の息子さんね」と言われる生活だった。僕が覚えているのは「卓志にお願いしてたら大丈夫、ありがとう」なんです。だから僕はもう町ぐるみでちゃんとしろって生きてきた人だったんですよ。これを思い出したときに本当に涙が出て、俺頑張ったね、ありがとうって思えたんです。

白土:やっぱり自分が大事にしたいものを探っていくと、絶対に理由がある。それをちゃんと思い出せる場所を作りたいなというのが、僕が今畑をやっている理由でもあります。どうやったらそういう人が増えるのかという仮説は今いいところまで来ています。もっと”be organic”に生きる人が増えたらいいなと思っています。

畑と組織の多様性の共通点から、人間と自然の関係、白土氏が畑に取り組む理由まで、多岐に渡る話が繰り広げられた。話を聞いた後、畑に足を運びたくなった参加者も多かっただろう。「いかす」というキーワードをもとに、ぜひ自分自身や所属する組織を「いかせているのか」思いを馳せてみるのもいいかもしれない。

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